【ワシントン=坂本一之】米連邦準備制度理事会(FRB)は13、14両日に金融政策を協議する連邦公開市場委員会(FOMC)を開く。市場では、インフレ抑制のために2022年3月から10会合連続で実施してきた利上げを見送るとの見方が強まっている。13日発表の5月の消費者物価指数(CPI)を踏まえて利上げの見送りと継続のどちらにかじを切るのか。直後の15、16日には日本銀行の金融政策決定会合も控え、判断が注目される。
米商務省が5月26日発表した4月の個人消費支出(PCE)物価指数は前年同月比4・4%の上昇だった。FRBが物価安定の目標とする2%を大きく上回る状況で、伸び率も3カ月ぶりに拡大するなど根強い物価上昇が続く。
一方で、3月にシリコンバレー銀行とシグネチャー銀行、5月にファースト・リパブリック銀行が経営破綻したことを受け、米銀には融資基準を厳格化する動きが広がった。基準の厳格化は融資の縮小を招き、利上げのように設備投資や個人消費の減速につながる。
FRBのパウエル議長は5月19日の会合で、融資基準の厳格化を踏まえ「政策金利をそれほど引き上げる必要はないかもしれない」と指摘。利上げを見送る可能性をにじませた。
また、政策金利の誘導目標は10会合連続の利上げによって現在5・0~5・25%と約16年ぶりの高水準に達しており、必要以上に利上げを継続すれば、景気を過度に冷やす恐れもある。金融政策のかじ取りに慎重さが必要な局面で、FRBのジェファーソン理事は5月31日の講演で、6月のFOMC会合で利上げを見送れば、追加利上げを巡る判断で「より多くのデータを確認できるだろう」と述べている。
こうした状況から米ブルームバーグ通信は6月2日、FRBは今回は金利を据え置き、夏に再び引き上げを検討する公算が大きいと報じた。米銀大手ウェルズ・ファーゴのエコノミストも5日付の分析で、利上げは見送られ、7月会合での追加利上げの可能性を示すと予想している。