機密文書に軍事上の弱点情報 米司法省、トランプ氏起訴状を公表

米アイオワ州で支持者にあいさつするトランプ前大統領=1日(AP=共同)
米アイオワ州で支持者にあいさつするトランプ前大統領=1日(AP=共同)

【ワシントン=大内清】米国のトランプ前大統領が退任時にホワイトハウスから持ち出した機密文書に、米国の核計画や、米国と同盟国の軍事上の「潜在的な弱点」、外国から攻撃を受けた場合の報復計画などに関する情報が含まれていたことが9日、司法省が公表した起訴状から分かった。トランプ氏が弁護団に対し、機密文書は自身の手元にはないと司法省へ虚偽の申告をするよう指示していたことも判明した。

捜査を指揮するスミス特別検察官は9日、首都ワシントンで記者会見し、トランプ氏が問われている罪は国家安全保障に関わるもので、「違反行為は国を危険にさらす」と述べた。

トランプ氏は、持ち出した機密文書のうち31件についてスパイ防止法違反(国防情報の意図的な保持)の罪に問われたのに加え、文書・記録類の隠匿、捜査妨害など、6つの罪でも訴追された。また、トランプ氏の弁護士1人も共犯として起訴された。

トランプ氏は2021年1月の退任時に機密文書をホワイトハウスから南部フロリダ州の邸宅へ運んだ。その後、歴代政権の記録を保管する国立公文書館(NARA)からの要請を受けて一部を返還したが、文書に破損があるなどしたことから司法省が調査を開始した。

起訴状によるとトランプ氏は、昨年5月に司法省がすべての文書の返還を求める召喚状を出したのを受け、弁護団に「誰にも見られたくない」「文書がないということにしてはどうか」などと発言。弁護士に文書を「隠すか処分」するよう示唆した疑いがある。

保管場所の一つでは、米英豪にカナダとニュージーランドを加えた英語圏5カ国による通信傍受・盗聴情報の共有枠組み「ファイブ・アイズ」のみがアクセス可能な文書が床に散乱するなど、きわめてずさんな管理が行われていたという。連邦捜査局(FBI)は同年8月にトランプ氏宅を捜索し、100件以上の機密文書を押収。うち17件は「最高機密」に分類されるものだった。

バイデン氏「コメントしない」 トランプ氏の起訴に

会員限定記事会員サービス詳細