5月の晴れた日、私は、花壇に球根を植えていた。そこへ、2頭のモンシロチョウが飛んできた。通常のそれより少し大きかったので、珍しいなと思いながら見ていた。すると、おのおの飛んでいた2頭が一緒になって私の鼻先まで飛んできて、再び飛び立っていった。一瞬の出来事で呆気(あっけ)に取られてしまったが、2頭一緒に…と思った瞬間、えっ?くうちゃんとちゃあちゃん? 私は、その場で号泣した。
くうちゃんとちゃあちゃんは、わが家の双子の猫。ちゃあちゃんは3月に、くうちゃんは4月に亡くなったばかりだった。5月には20歳になるはずだったのに。
猫は、鼻と鼻をくっつけてあいさつをする。鼻つんつんとか鼻チューといわれている。私が、2人に顔を近づけると鼻をくっつけてくれた。鼻つんつんで起こされることもあった。
あの2頭のモンシロチョウは、くうちゃんとちゃあちゃんだったんだね。そして、私が分かるように鼻つんつんしてくれたんだね。2人がほぼ同時に逝ってしまい泣いてばかりいる私に、「そばにいるからね。泣かないでね」とか「2人一緒にいるから心配しないでね」とか言いに来てくれたのかもしれない。そう思ったら、悲しみや寂しさが少し和らいだような気がした。
くうちゃん、ちゃあちゃん、会いに来てくれてありがとう。また、会いに来てね。2人一緒に来てね。すぐ分かるように。いつでも待ってるね。
栗原純子(58) 栃木県足利市