【ワシントン=坂本一之】バイデン米政権は9日、ロシアがイランからウクライナ攻撃に使うドローン(無人機)数百機を受け取っていると指摘し、具体的な調達経路を公表した。
イランの首都テヘランで製造されたドローンはカスピ海に面するアミラバードから、ロシア南部のマハチカラに海上輸送される。その後、ウクライナの北部と東部に近いロシア領内の各拠点に運ばれ、首都キーウ(キエフ)への攻撃に使われているという。
米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は9日、「ロシアはここ数週間、キーウへの攻撃にイラン製ドローンを使っている」と指摘。イランが「ロシアの残虐な戦争」を支援しているとして、両国の軍事協力拡大を非難した。
またカービー氏は、ロシアとイランが露国内でのドローン製造でも協力していると批判。ロシアはドローン製造工場に必要な資材をイランから受け取っており、来年初めに工場が本格稼働する可能性があるとしている。工場はモスクワ東方の経済特別区にあり、衛星写真も公表した。
ロシアによるイラン製ドローンの調達は、国連安全保障理事会決議に違反しているとも指摘。ドローンを含むイラン製兵器のロシア移転に関する制裁を継続していくと強調した。
カービー氏は、ロシアがイランに対しミサイルや防空システムなどの提供を申し出ていると説明。一方、イランはロシアから戦闘機スホイ35を調達するだけでなく、攻撃ヘリやレーダーなどの獲得も画策しているとして、両国の協力拡大を牽制(けんせい)した。