昭和な時代を引きずっているのか、まわりにはいまだに日が暮れると「一杯どう?」と元気になる「5時から男」が複数いて、ついついお誘いに乗ってしまう。コラムの締め切りに遅れた言い訳ではない。
一杯飲みながら書いたわけでもないが、アフター5ならぬ、「アフタースクール(放課後)」の子供たちの過ごし方は多様化している。というか、格差が広がり、気がかりだとの指摘を、元教育委員で不登校の子供たちの教育相談にあたる開善塾教育相談研究所長の藤崎育子さんから聞いた。
学習塾の隆盛は相変わらずでNPO主宰などを含め児童生徒がさまざまな学びやスポーツを体験する場が提供されている。
子供のために多様な機会があるのはいいことだろうが、学校より「分かりやすく教えてくれる」「楽しい」との声が少なくないという。忙しそうな学校の教員より、塾や民間の教室の方が相談しやすいとの保護者の声もある。小学校高学年の英語教科化に伴い、英会話スクールのニーズが高まっているのも皮肉だ。幼稚園児も通う。
一方、家庭の経済的理由などで、そうした民間の教室に行きたくても、行けない子がいる。
学校を、行きたくなる、楽しい場に、何より、頼りになる教員を育てることが必要だが、きついといわれる職場を嫌って教員の成り手が少ないという深刻な問題がある。
政府の経済財政諮問会議が7日に示した「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」原案では、「質の高い公教育の再生」が掲げられ、「教職の魅力向上等を通じ、志ある優れた教師の発掘・確保に全力で取り組む」と明記された。「真に頑張っている教師が報われるよう」、教師の処遇を抜本的に見直すことがうたわれた。
ほかに文部科学省では、民間企業の採用より遅れる各地の教育委員会の教員採用試験について、複数回実施や前倒しを促すことなども検討されている。
だが生半可な待遇改善では、優秀な人材を教職に振り向かせるのは難しい。採用試験の前倒しで民間企業に勝ち、本当に志ある優れた人材を採れるか。
前出の藤崎さんは「教員はたしかに大変だが、こんなに魅力がある、子供たちの未来をつくる、やりがいのある仕事だと、現場からもっと発信してほしい」と話す。忙しくてもいいじゃないか。