豪雪地帯の青森県津軽地方で1970年代まで使われた天然ゴム製の長靴「ボッコ靴」が復活し、人気を博している。幻の長靴を再生させたのは、かつて製造していた靴店「Kボッコ」(黒石市)の3代目工藤勤さん(55)。全国から注文が相次ぎ、予約は1年半待ちだという。
ボッコ靴は戦前から、冬に剪定するリンゴ農家や山で狩猟をするマタギが愛用した。だが合成ゴムの製品に押されて次第に姿を消し、職人もいなくなった。
製品は全て工藤さんの手作りだ。ゴムシートを裁断し、端材と油を混ぜて溶かしたのりで貼り合わせる。1日1足しか作れないため値段はどうしても高めになる。1足2万5千円から。
天然ゴムは石油などから作る合成ゴムと比べ、耐久性と防寒性が優れているという。工藤さんは「長時間雪上で作業しても足が冷たくならない」と強調する。