津軽「幻の長靴」が人気 天然ゴム製、予約1年待ち

雪の中を歩くための「かんじき」を装着したボッコ靴。甲部分のリボン状の留め具も「かわいい」と人気だ=5月、青森県黒石市
雪の中を歩くための「かんじき」を装着したボッコ靴。甲部分のリボン状の留め具も「かわいい」と人気だ=5月、青森県黒石市

豪雪地帯の青森県津軽地方で1970年代まで使われた天然ゴム製の長靴「ボッコ靴」が復活し、人気を博している。幻の長靴を再生させたのは、かつて製造していた靴店「Kボッコ」(黒石市)の3代目工藤勤さん(55)。全国から注文が相次ぎ、予約は1年半待ちだという。

ボッコ靴は戦前から、冬に剪定するリンゴ農家や山で狩猟をするマタギが愛用した。だが合成ゴムの製品に押されて次第に姿を消し、職人もいなくなった。

青森県黒石市の靴店「Kボッコ」の店頭に並ぶボッコ靴。購入は完全予約制=5月
青森県黒石市の靴店「Kボッコ」の店頭に並ぶボッコ靴。購入は完全予約制=5月

製品は全て工藤さんの手作りだ。ゴムシートを裁断し、端材と油を混ぜて溶かしたのりで貼り合わせる。1日1足しか作れないため値段はどうしても高めになる。1足2万5千円から。

靴店「Kボッコ」の3代目工藤勤さん=5月、青森県黒石市
靴店「Kボッコ」の3代目工藤勤さん=5月、青森県黒石市

天然ゴムは石油などから作る合成ゴムと比べ、耐久性と防寒性が優れているという。工藤さんは「長時間雪上で作業しても足が冷たくならない」と強調する。

「Kボッコ」店内の工房で天然ゴムのシートを裁断する工藤勤さん=5月、青森県黒石市
「Kボッコ」店内の工房で天然ゴムのシートを裁断する工藤勤さん=5月、青森県黒石市


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