色鮮やかな装束で着飾った農耕馬が14キロにわたって行進する初夏の風物詩「チャグチャグ馬コ」が10日、岩手県滝沢市の鬼越蒼前神社から盛岡市の盛岡八幡宮までの本来のコースで4年ぶりに繰り広げられた。
チャグチャグ馬コは過酷な農作業の貴重な担い手だった農耕馬に感謝して、馬体安全を祈って農耕馬を着飾らせて神社に詣でたのが始まり。200年以上の歴史があり、国の無形民俗文化財にも指定されている。
今年は60頭を超える馬コが参加、好天に恵まれた沿道には多くの家族連れや観光客が詰めかけた。盛岡市がニューヨーク・タイムズ紙の「2023年に行くべき52カ所」に選ばれた影響か外国人の姿が目立った。
ヘレスバック・メラニーさん(33)ら3人のフランス人は希望して馬の引き手として参加した。ゲスト以外に外国人が引き手を務めるのはこれが初めて。京都在住で建築家のメラニーさんは「念願がかなって本当にうれしい」と笑顔でスタートしていった。
スイス・ローザンヌから夫と娘と3人でやってきたフレデレキ・ハメルさん(46)は「こういう馬のお祭りは珍しい。装束も美しく、こんな祭りに出会えうれしい」と話した。
盛岡市出身で60数年ぶりにチャグチャグ馬コを見たという東京在住の後藤紘子さん(83)は「懐かしい気持ちになってうれしかった。それにしても外国人の方が多いですね」と目を丸くしていた。