山形の無形民俗文化財「鮭川歌舞伎」前夜公演開催 11日の本公演はライブ配信も

夜の森という神秘的な雰囲気の中で行われた鮭川歌舞伎前夜公演=10日午後、山形県鮭川村(柏崎幸三撮影)
夜の森という神秘的な雰囲気の中で行われた鮭川歌舞伎前夜公演=10日午後、山形県鮭川村(柏崎幸三撮影)

今年で伝承から250年になる山形県指定無形民俗文化財「鮭川(さけがわ)歌舞伎土舞台特別公演」の前夜公演が10日夜、鮭川村の京塚愛宕神社で開かれ、県内外から大勢の人が訪れた。

江戸時代後期、「地芝居」といわれた歌舞伎は、歌舞伎役者の地方巡業で各地に広まり、鮭川歌舞伎は、安永2(1773)年に巡業にきた歌舞伎一座が、村人に伝えたことが始まりとされる。一時は京旭座、豊石座、大渕座、川村座と村内4地区で歌舞伎一座ができるほどのにぎわいを見せた。お盆のころに各地区の神社境内に設けた仮設舞台(土舞台)で神様に奉納するために披露された。農村社会の変容に伴い担い手が減少し、昭和46年に4座が統合。「鮭川歌舞伎保存会」が設立され、毎年6月第2日曜に演じられてきた。

昨年、鮭川歌舞伎保存会結成から50年を迎えたのを機に土舞台を復活。その舞台で伝承250年の記念公演も演じられた。

本公演前夜の10日夜、河竹黙阿弥(2代目河竹新七)作「白浪五人男」で有名な「稲瀬川勢揃いの場」が演じられた。悪事がばれて追手から逃げる、日本駄右衛門や赤星十三郎役ら義賊5人が動ぜずに大見えを切る好演に観客からは大きな拍手が湧いた。

本公演は11日正午から、鮭川小学校の児童による鮭川子ども歌舞伎のほか、「奥州安達ケ原三段目」が演じられる。新型コロナウイルスの影響で、定員を300人に抑えており、村中央公民館でパブリックビューイングのほか、動画投稿サイト「ユーチューブ」でライブ配信も行われる。

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