ジョンソン元英首相 下院議員辞職 虚偽答弁巡り

英国のジョンソン元首相(ロイター=共同)
英国のジョンソン元首相(ロイター=共同)

【ロンドン=板東和正】英メディアによると、ジョンソン元英首相(58)は9日、下院議員を辞職した。新型コロナウイルス禍の行動規制下にあった時期に首相官邸でパーティーが開かれた不祥事をめぐり、ジョンソン氏が議会で虚偽答弁をした疑いについて下院特権委員会が調査していた。ジョンソン氏は調査の内容に不服を示し、辞職を決断したとみられる。

ジョンソン氏はパーティーに自身が参加したにもかかわらず、議会で「コロナ規制を守ってきた」などと発言。支持率低迷につながり、昨年首相を辞職した。下院は特権委員会を設置し、首相辞任後も調査を続けてきた。

英メディアによると、ジョンソン氏は今月9日の声明で「私は噓をついていない」とした上で、「(委員会は)驚いたことに私を議会から追い出すことを決意している。故意に真実を無視することを選んだ」と非難。「強制的に退場させられることに困惑し、驚(きょう)愕(がく)している」と述べた。

英BBC放送などによると、委員会はジョンソン氏が下院の「誠実さを冒瀆(ぼうとく)冒瀆(ぼうとく)」したと批判しており、ジョンソン氏の虚偽答弁を認定した可能性が高い。議会を故意に欺いたと委員会が判断した場合、議会活動の停止を勧告できる。委員会は近く調査の報告書を公表する予定だが、ジョンソン氏はすでに報告内容が書かれた書簡を委員会から受け取っているという。

ジョンソン氏は2019年7月、欧州連合(EU)離脱への道筋をつけられず辞任したメイ元首相の後任として首相に就任した。離脱派として知られたジョンソン氏は、極めて困難と予想された離脱条件に関する協定案をめぐりEUとの交渉に成功。20年末でEUの完全離脱を実現させた。

離脱後は「グローバル・ブリテン」構想を表明。EUの規制から英国を解き放ち、軍事や経済で世界への影響力を拡大させた。ロシアの侵略を受けるウクライナへの兵器支援や露内部の情報収集でも存在感を発揮したが、首相官邸をめぐる不祥事や最近の物価高騰への抜本的な対策を取れなかった。

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