50歳以上もチャンスあり 転職市場も活況、「選ばれる」から「選ぶ」へ

通勤客で混み合う品川駅前=東京都港区
通勤客で混み合う品川駅前=東京都港区

来春卒業予定の大学生らの採用活動がヤマ場を迎える中、中途採用の人材を巡る企業の争奪戦も激しさを増している。従来は転職が難しいとされた50歳以上の世代も増加しており、リクルートHR統括編集長の藤井薫さんは「自分の可能性を広げてほしい」としている。

転職支援サービス「リクルートエージェント」が利用企業1万1537社を対象に行った令和4年度下半期の「中途採用動向調査」では、中途採用計画があった企業の79・4%が採用を満たせなかったと答えた。新型コロナウイルスの「5類」への移行で経済活動が回復する中、今後はさらに人材確保を巡る競争が激しくなるとみられる。

リクルートHR統括編集長の藤井薫氏
リクルートHR統括編集長の藤井薫氏

藤井さんはこうした状況を「労働者にとってはチャンスであり、選ばれる立場から、選ぶ立場に変わった」と指摘。これまでは35歳になると転職は難しいとする「35歳限界説」もあったが、現在は50歳以上も増加し、年齢のハードルもなくなりつつあるるという。実際、リクルートエージェントの利用者のうち、50~64歳のミドルシニア層の令和4年度の転職決定率は6年前の平成29年度に比べ、5・67倍に増えた。

転職市場の傾向としては、異業種かつ異職種への転職が増えており、リクルートエージェントの転職決定者のうち平成21年度は24・2%だったが、36・1%に。一方、同業種かつ同職種は27・9%から19・6%に減った。社会や技術の変化で異なる領域に取り組み、「異能人材」の獲得を強化する企業も増える傾向もあるという。

藤井さんは「個人には、業種や職種では表現できない能力がたくさんある」とし、自分の経験や能力を見つめ直して可能性を広げてほしいと話した。(本江希望)

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