くら寿司、原価高で最終赤字10億円 売上高は最高

会見するくら寿司の岡本浩之取締役=9日、大阪市中央区(田村慶子撮影)
会見するくら寿司の岡本浩之取締役=9日、大阪市中央区(田村慶子撮影)

回転ずし大手のくら寿司が9日発表した令和5年4月中間連結決算は、原材料やエネルギー価格の高騰などが響き、最終損益が22億円の黒字だった前年同期から10億円の赤字に転じた。本業でもうけられているかを示す営業損益も11億円の赤字(前年同期は3億円の黒字)だった。

原材料価格の高騰などを受け、昨年10月にメニューを値上げしたが、黒字を確保できなかった。会見した同社の岡本浩之取締役は「2年前に比べるとマグロは2倍、サーモンは2・5倍と原価上昇が想定を上回った」などと説明した。

ただ、一定の値上げ効果もあり、売上高は14%増の1018億円と中間期として過去最高を更新した。最低価格の1皿110円を115円にするなど小幅な値上げにし、一部のメニューでは値下げしたことなどから大きな客離れを起こさなかったためだ。中間期における国内の既存店客数は前年比3・7%減となり、売上高は0・7%増とわずかながら前年を上回った。

一方、客が迷惑行為を交流サイト(SNS)に投稿する、いわゆる「迷惑動画問題」について岡本氏は「回転ずしに行きたくないという客が一定数いることから業界全体に影響は残っている」と指摘。ただ、くら寿司ではすし皿を覆う専用カバーを付けており、回転レーンに人工知能(AI)カメラを設置するなど迷惑行為の防止策を急いだことから「(客足への)影響は少ない」とした。

5年10月期の連結業績は売上高が14・2%増の2090億円、最終利益は47・7%増の11億円と、従来予想を据え置いた。主要客であるファミリー層の夏休み需要などもあり「もともと下半期に利益が偏重している」(岡本氏)ことや、原価によって細かく値決めすることで増益を見込んでいる。(田村慶子)

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