<独自>NTT独自の省電力AI、11月にも発表 原発1基分電力消費のチャットGPTに対抗

NTTのロゴ
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NTTが今年度中の商品化を目指して開発中の独自の生成人工知能(AI)について、今年11月のNTTの研究発表会で製品を発表する方向で検討していることが9日わかった。注目を集める米オープンAIの対話型AI「チャットGPT」は広範な分野の質問に回答できるが誤回答も多く、原発1基分に相当する1時間当たり100万キロワット以上の電力を消費するのに対し、NTTは金融や法律など各分野に特化して正確性を追求するほか、低消費電力という環境性能をアピールする考えだ。

NTT人間情報研究所の木下真吾所長が産経新聞の取材で明らかにした。木下氏は「NTTとしては70億~300億パラメーターの言語モデルでオープンAIに勝つことを目指す」と述べた。チャットGPTの中核の「GPT-3」は1750億パラメーター。パラメーターはAIの頭脳に相当する指標で数値が大きいほど高性能とされる。

ただ、GPT-3はAI学習の際に1時間当たり100万キロワット以上の電力を消費するとされるほか、質問に回答するごとに検索エンジンで検索するよりもはるかに多くの電力を消費するとされている。

木下氏は「いかに小さいサイズで効率を出すか。金融に詳しいAIや芸術に詳しいAIなどを作って集合知として対抗していく」と強調。各分野に特化した低消費電力のAI製品を、将来的には連携させ、正確性と利便性や環境性能を両立させるAIネットワーク構想を掲げた。

AIの連携の際には2025年度以降の提供に向けて研究開発を進める、光技術を使った次世代通信構想「IOWN(アイオン)」の商用化サービス第2弾「2・0」を活用することも視野に入れる。2・0以降でデータ転送の低遅延に加え、従来の光回線の百分の一の低消費電力を実現する見通しだ。

日本企業が開発する生成AIを巡っては、政府のAI戦略会議が26日にまとめた論点整理でも、各分野に特化した製品開発を促す方針を掲げている。NTTの独自AI製品が成功するかは、日本企業のAIが世界各国で受け入れられるかの試金石といえそうだ。

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