茶道裏千家(京都市上京区)の前家元で4月に100歳を迎えた千玄室大宗匠が9日、オーストラリア・シドニーで献茶式を開き、戦争のない世界を祈念して、お点前を披露した。大学在学中に海軍に徴用され特攻作戦の訓練を受けたこともある千さん。茶道の譲り合いの精神を世界中の人が持てば「醜い争いはなくなるのでは」と呼びかけた。
千さんはこれまでウクライナやロシアを複数回訪問。ウクライナの首都キーウに茶室をつくったこともある。
この日の講演で「3日前にその茶室でお茶をたてている動画が送られてきた。それを見て涙が出てきた。もう一度、ウクライナに行って、何とかこの戦争を終わらせるようにしたい」と語った。
参加者約200人を前に30分以上立ったまま熱弁を振るった。長寿の秘訣についてお茶を飲むことに加え「姿勢と腰が大事」と話した。(共同)