LGBTなど性的少数者への理解増進を図る法案に関し、日本維新の会と国民民主党は土壇場で与党から提案のあった修正協議に応じ、独自案を事実上、丸のみさせることに成功した。
最大のポイントでもある一般女性の人権侵害に対する懸念を払拭するための留意規定も反映され、存在感を示した。一方、立憲民主党や共産党などは与党の修正案に反対したが、採決の日程自体は容認し、激しい抵抗は控えた。
9日朝の修正合意の後、夜明かしの交渉に携わった維新の音喜多駿政調会長は「より多くの方が納得できる内容になった」と胸を張った。国民民主の榛葉賀津也幹事長は「与野党4党が対決より解決を選び、ギリギリで成案を得た。まさに政治家が汗をかいた結果だ」と記者会見で語った。
当初の与党案のままでは採決で大規模な造反者を出すリスクを抱えた自民に対し、維国が助け舟を出したともいえる。
一方、立民は共産、社民とともに提出した「性自認を理由とする差別は許されない」などとする法案を掲げて衆院内閣委員会の採決に臨み、与党修正案には反対した。西村智奈美代表代行は内閣委で「本来であればもっとしっかり中身を議論して採決にかけるべきだ」と批判した。
ただ、立民の中堅議員は「LGBT法案は、『半歩前進』でもあった方がいい」と指摘。こうした機運が、採決を認める「静かな反対」へとつながったようだ。(千葉倫之)