作家、池波正太郎(1923~90年)の生誕100年を記念して制作が始まった「鬼平犯科帳」の映画、ドラマシリーズの主な出演者が7日、京都市内の撮影所で発表され、俳優らが会見した。
「鬼平犯科帳」は江戸時代後期、火付盗賊改方として江戸の治安を守った「鬼の平蔵」こと長谷川平蔵の活躍を描く人間ドラマで、累計発行部数3千万部を超える池波の代表作。
平蔵を演じる歌舞伎俳優、十代目松本幸四郎(50)以外の出演者は、この日が初お披露目で、若き日の平蔵を幸四郎の長男で歌舞伎俳優の八代目市川染五郎(18)が演じるのが話題だ。
複雑な生い立ちもあって青春時代を「本所の銕(てつ)」と呼ばれる荒くれ者として過ごした平蔵が、いかにして江戸の治安を守る「鬼」になったか。そこを丁寧に描くのが今回の「鬼平」の見どころでもある。
また、平蔵の妻、久栄には仙道敦子(のぶこ=53)、密偵の相模の彦十に火野正平(74)、同じく密偵のおまさに中村ゆり(41)、同心に本宮泰風(やすかぜ=51)、山田純大(じゅんだい=50)、柄本時生(ときお=33)、浅利陽介(35)、久保田悠来(ゆうき=41)という顔ぶれ。
祖父の初代松本白鸚(はくおう)や叔父の二代目中村吉右衛門らが演じ、すでに4度映像化されている「鬼平」だ。
会見で幸四郎は、「このお話をいただいたとき、不思議なほど迷いもなく『やらせていただきます』と素直に言えました。今までの鬼平、小説の鬼平、そして新しく鬼平を知る方々に真正面からぶつかっていくつもりです」と「5代目・長谷川平蔵」の覚悟のほどを改めて表明した。
そのうえで、「先頭を切って事件現場に飛び込む、まさに鬼のような強さがあったはず。なぜ鬼と呼ばれたのか分かっていただけるような平蔵を演じるのが、自分のテーマ」と意気込みを語った。
また、そんな父の隣に並んだ染五郎は「吉右衛門のおじさまは自身で青年時代も演じ、描写は短いのですが、それを見て自分なりに膨らませて取り組んでいます。父が平蔵の姿で撮影現場にいると、自分の役の未来の姿がそこにいるわけで、すごく不思議な気持ち」と笑った。
また、火野の芸名は生前の池波が命名したという。火野は「やっと出番が来た」と感慨深げに語った。
柄本は、吉右衛門のシリーズで父の明(74)が演じたのと同じ同心の役で、「恥をかかないよう頑張ります」と決意を語った。
現在、2時間ドラマ「本所・桜屋敷」(来年1月放送・配信予定)と劇場映画「血闘」(同5月公開予定)を同時に撮影中。監督は、吉右衛門のシリーズにも携わった山下智彦。
また、映画公開に合わせてドラマ「でくの十蔵」「血頭の丹兵衛」も放送・配信予定で、こちらは今年秋から撮影する。
放送は時代劇専門チャンネルで。配信のプラットフォームは未定。
来年、「シーズン2」として1時間番組を2話制作する予定だが、放送時期などは未定。
(石井健)