9日の衆院内閣委員会で可決されたLGBTなど性的少数者への理解増進を図る法案は、異例の経緯をたどった。審議と採決の日程が先に決まり、前日の8日になって自民党が日本維新の会に修正協議を打診し、維新と国民民主党の案を事実上丸のみした。今国会中の成立にこだわる岸田文雄首相(自民総裁)の意向があったというが、女性の安全や安心などが関わる重要な案件に、十分な検討が加えられたとはいえない。
維新の馬場伸幸代表によると、当初、自民は硬かった。約1カ月前、与党案の提出者に修正を持ちかけたが「一字一句も修正できない。ガラスの城だから」と断られたという。公明党への配慮もあったようだ。
8日になって情勢が一変した。馬場氏は国会内で自民の萩生田光一政調会長から「どうにか協力してもらえないか」と求められた。馬場氏は「われわれの案が中心でなければ協力は一切できない」と答え、萩生田氏は「厳しいな」とつぶやいたが、この後、実務者による協議が始まった。