トランプ前米大統領(共和党)は3月にも、ポルノ女優への口止め料支払いを巡る州法違反で起訴された。だが、今回の起訴はスパイ防止法など連邦法に違反したとするもので、罪状の重みが違う。3月の起訴後には支持率を高めたトランプ氏だが、今回は事情が異なるとの指摘もある。
トランプ氏は3月、不倫関係にあったポルノ女優への口止め料支払いに関し、一族企業の業務記録を改竄(かいざん)したとしてニューヨーク州法違反で起訴された。同州法では業務記録改竄は禁錮1年未満の軽犯罪。検察はしかし、改竄には選挙に関連する法律違反を隠匿する狙いがあったとして「重罪」を主張している。
一方、今回の起訴は国防に関する機密を持ち出したスパイ防止法違反や偽証、司法妨害の共謀といった罪だとされる。米メディアによると、連邦捜査局(FBI)がトランプ氏邸宅の捜索で押収した文書には、中国やイランに関する機密情報が含まれていた。
共和党関係者は、国家機密を巡る罪は「業務記録改竄より重い」とし、有罪となれば「トランプ氏のダメージになる」と困惑する。
機密文書を巡っては1月、バイデン大統領(民主党)の自宅などにも副大統領時代の機密文書があったことが発覚し、特別検察官が捜査している。米NBCニュースは、この捜査の結論が近く出る兆しはないと報じている。(ワシントン 坂本一之)