山梨県が人口減少で非常事態宣言 全国初 出生率回復へ対策

人口減少問題で非常事態宣言を発出する山梨県の長崎幸太郎知事=9日、甲府市(平尾孝撮影)
人口減少問題で非常事態宣言を発出する山梨県の長崎幸太郎知事=9日、甲府市(平尾孝撮影)

山梨県は9日、長崎幸太郎知事を本部長とする「人口減少危機対策本部」を発足し、人口減少が喫緊の課題だとする非常事態宣言を発出した。都道府県でレベルで、こういった宣言を出すのは初。岸田文雄政権が進める異次元の少子化対策と連携させ、今後、具体的な取り組みを進めていく。

今回発出した「人口減少危機突破宣言」では、出生率の下降トレンドを上昇へと転換させるか否かの瀬戸際に立っているとし、令和5年度を危機突破元年として出生率回復に向けた抜本的・集中的な取り組み開始の年にするとしている。これに向けて県民と危機感を共有することが欠かせないとし、非常事態宣言に至ったとしている。

県、市町村、民間企業を対象にした人口減少対策のトップセミナーを開催することに加え、県の関係各局の次長クラスによるプロジェクトチーム(PT)を発足させ、月内にも対策の素案をまとめ、具体化を図る。

人口動態統計によると、女性1人が生涯に産む子供の推定人数である「合計特殊出生率」で、山梨県では令和4年が1・40で、前年を0・03ポイント下回り、2年連続で低下した。また、県が目標に掲げた若い世代の結婚や出産の希望がかなったときの出生率の水準である希望出生率1・87に対し、1・40にとどまっている。

新型コロナ感染拡大では対面機会が減少したり、産み控えなどが起きてきたが、長崎知事は「コロナ禍を脱し、日常を取り戻したこのタイミングで、出生率回復に向け、早急に政策パッケージをまとめ、予算措置を図っていく」と説明した。

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