関西でも多くの足跡を残した植物分類学者、牧野富太郎。NHK朝の連続テレビ小説「らんまん」にちなみ、植物園などでは企画展がめじろ押しだ。長居植物園(大阪市東住吉区)の「MAKINO展」では、樟蔭学園(大阪府東大阪市)から寄贈された牧野の植物標本が注目を集める。樟蔭にはかつて牧野が関わった広大な庭園があったという。
1300坪に300種
「これを見てください」。樟蔭学園の学園広報課、梶田美法子さんが取り出したのは同学園の前身である樟蔭高等女学校の開校当時(大正7年)の鳥瞰図(ちょうかんず)。コの字形の木造校舎に囲まれた庭園「前庭植物園」が、敷地全体の4分の1ほどを占めて描かれており、かなりの存在感だ。
学校設立の趣旨などが書かれた当時の「紀念帖」によると、1300坪の園内には小川もあり、カエデ、ヒノキ、コデマリ、ヤマボウシなど約300種の植物を取りそろえた。