4月の経常収支、3カ月連続の黒字 資源高一服が影響

財務省=東京都千代田区霞が関(飯田英男撮影)
財務省=東京都千代田区霞が関(飯田英男撮影)

財務省が8日発表した4月の国際収支速報によると、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支の黒字額は前年同月比76・3%増の1兆8951億円だった。黒字は3カ月連続。エネルギー価格の下落で貿易収支の赤字幅が縮小したほか、海外投資で生じた利子や配当の動向を示す第1次所得収支が好調だった。

経常収支のうち、輸出から輸入を差し引いた貿易収支は1131億円の赤字で、赤字幅は5710億円縮小した。輸出は自動車や船舶が増えて2・6%増の8兆2234億円、輸入は原油や液化天然ガス(LNG)が減って4・1%減の8兆3366億円だった。輸入の減少は2年3カ月ぶり。原油価格は円ベースで前年同月に比べて16・7%下落するなど、資源価格の高騰が落ち着いた影響が大きい。

第1次所得収支の黒字は3兆663億円。4月単月では、比較可能な昭和60年以降で過去最大の黒字額となった。海外金利の上昇にで証券投資収益が伸びた。

旅行や貨物輸送を含むサービス収支は6465億円の赤字で、赤字幅は3563億円縮小。海外向けの広告費が膨らんだ一方、新型コロナウイルス禍の水際対策緩和の影響でインバウンド消費が拡大したことが赤字幅縮小に寄与した。

SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「部品不足の解消に伴って自動車の輸出増の動きはしばらく続き、今後の貿易収支は輸出主導で赤字幅が縮小していく」と分析。インバウンドのさらなる増加も見込まれ、今年の経常収支の黒字額は10兆円台半ばにまで回復するとした。

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