日本、米国、フィリピンの3カ国が安全保障担当高官による新たな協議枠組みの初会合を16日に東京都内で開く方向で調整に入った。東・南シナ海で海洋進出を強める中国への抑止力強化に向け、3カ国の連携を深化させるのが狙い。共同訓練の強化やフィリピン軍の能力構築支援など防衛協力の強化策について意見を交わすとみられる。会合の成果をまとめた文書を発表することも検討している。複数の政府関係者が8日、明らかにした。
初会合には、日本の秋葉剛男国家安全保障局長、米国のサリバン大統領補佐官(国家安全保障問題担当)、フィリピンのアニョ国家安全保障補佐官(閣僚級)が参加する予定。当初は4月に開催する予定だったが、日程上の都合で延期となっていた。
フィリピンは海上交通路の要衝で、九州、台湾、南シナ海を結ぶ「第1列島線」に位置する。台湾とはバシー海峡を挟んで約300キロの距離にあり、戦略的重要性は極めて高い。台湾有事の際、在日米軍とともにフィリピンの基地が拠点になることも想定され、日本はフィリピンを「戦略的パートナー」と位置づけ、米国とともに連携強化を加速させている。
今月からマニラ湾周辺で日本の海上保安庁とフィリピン沿岸警備隊、米沿岸警備隊による初めての合同訓練を実施。南シナ海で領有権を巡りフィリピンと対立する中国を念頭に、3カ国の海上警備の強化を図っている。
また、日本と米国、オーストラリア、フィリピン4カ国の防衛相が3日、アジア安全保障会議(シャングリラ対話)が開かれたシンガポールで初めて会談。防衛協力の面で以前からつながりが深かった米豪両国に加えて、フィリピンを対中国包囲網に引き込む働きかけを強めている。