国が同性同士の結婚を認めない民法などの規定は憲法違反だとして、福岡市や熊本市に住む30~40代の同性カップル3組が国に1人当たり100万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、福岡地裁(上田洋幸裁判長)は8日、「違憲状態」と判断した。賠償請求は棄却した。全国5地裁に起こされた同種訴訟で5件目の判決。
これまでの4地裁判決はいずれも賠償請求を退け、札幌、名古屋は「違憲」、大阪、東京は「合憲」と判断。東京は、同性愛者がパートナーと家族になるための法制度がない現状を「憲法違反の状態」と指摘していた。
福岡訴訟の原告は、男性の2組と女性の1組。令和元年9月に福岡の男性カップルが訴えを起こし、3年2月に残る2組が加わった。幸福追求権を保障した憲法13条や法の下の平等を定めた14条、婚姻の自由を規定した24条に反すると主張していた。
最初の判決となった3年3月の札幌地裁は、同性婚を認めないのは14条違反と判断。今年5月30日の名古屋地裁は14条に加え、24条2項に違反するとも認定した。
国側は憲法は同性婚を想定していないと反論。男女が子供を産み育て、共同生活を送る関係を法的に擁護しているとして「不合理な差別には当たらない」としていた。
地裁レベルでの同種訴訟は、東京地裁で第2次訴訟が係争中。