Z世代が選ぶ流行語トップ「蛙化現象」に二つの意味 「嫌な面見て相手に幻滅」に共感

Z世代が選ぶ2023年上半期の流行語ランキングが5日に発表され、1位に「蛙化現象」が選ばれた。恋愛の心変わりにまつわる言葉だが、なぜ若者の心を捉えたのか、専門家に聞いた。

Z世代は、おおむね10代前半~25歳くらいの若者を指す。同世代を研究するシンクタンク組織「Z総研」が5月8~14日に中学生から26歳までの950人が回答した調査の流行語で「蛙化現象」が全体の54%を占める1位を獲得。2位の「かわちぃ」(かわいい)、3位の「うちゅくしぃ/うちゅくちぃ」(美しい)だった。

蛙化現象は、王女から気持ち悪がられていたカエルが、王子様の姿に変身してハッピーエンドを迎えるグリム童話の「カエルの王さま」が由来で、恋愛での突然の心変わりを表す。

精神科医で、府中こころ診療所の春日雄一郎院長によると、蛙化現象には2つの定義がある。元々は好意を持っている相手が自分に好意を持っていることが分かると、急に相手に嫌悪感を感じてしまうことを表していた。平成16年に初めて日本心理学会大会で論文が出たという。

最近は、交際相手などの嫌な面を見たときに急に相手に幻滅し、好意が消えてしまう意味でも使われるようになったという。春日院長は、「若者の間で『蛙化現象』がSNS(交流サイト)で拡散し、流行語で1位となったのも、この新しい意味での使われ方が共感を集めて広がったことが大きい」と指摘する。

元々の蛙化現象は、自己肯定感の低下が背景にあるという。「自分を否定するのと同じように、自分を好きになった相手を否定したり、いずれ嫌われてしまうという不安が要因になったりする」(春日院長)。

相手の嫌な面を見て心変わりする蛙化現象について、春日院長は「シンプルに相手の行動などから評価が変わったということ。あくまで推測だが、SNSの影響で自分をよく見せたり完璧を求めたりする傾向が強くなり、相手にも求めてしまうという可能性もある」と分析する。

この蛙化現象は、若い人に多い傾向があるようで、「成長していろんな経験をしていくことで、人にはいい面、悪い面、両方あり、人を全体で見ることができるようになっていくのではないか」としている。(本江希望)

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