北海道小樽市と石狩市にまたがる石狩湾新港の港湾区域に今年12月、国内最大級となる蓄電池併設型の洋上風力発電が本格稼働する。再生可能エネルギー発電を手掛けるグリーンパワーインベストメント(本社東京都、坂木満代表)が平成19年から進めてきた事業で、8日に建設現場に近い同港岸壁で報道関係者向けの見学会が行われた。同社の幸村展人副社長は「再生可能エネルギーはこれから地方分散型になる。国内における洋上風力発電の国内サプライチェーン構築を進めたい」などとしている。
建設中の風力発電は総事業費約800億円。高さ約195メートルの大型風車を石狩湾新港の港湾区域500ヘクタールのエリアに14基設置する。1基あたりの発電量は一般的な風車の2倍に相当する8000キロワットで国内最大級。全体で一般家庭の約8万3000世帯分に相当する電力を発電する。北海道電力ネットワークと20年間の売電契約を結んでいるという。
同社によると、蓄電池を併設する大型洋上風力発電は国内で初めて。幸村副社長は「蓄電池を活用することで(自然環境に左右されない)安定的な売電が可能になる」と強調。電力需給を踏まえ、余剰電力を活用した水素を製造する構想も挙げ、「純国産のグリーン水素を使った再エネ発電も可能。データセンターや工場誘致などにもつなげたい」などと地産地消を含めた将来的な利活用の展望も示した。
風車については「ジャケット構造」と呼ばれる基礎の脚部分を海底地下に埋め、その上に支柱と羽根部分を組み上げる方式を初めて採用した。5月から海上での建設作業を始めており、試験稼働を経て12月から商用運転を始める計画だ。