<独自>近鉄線移設など15事業 一部・全部中止へ 奈良県知事、約68億円削減見通し

奈良県の山下真知事
奈良県の山下真知事

5月に就任した奈良県の山下真知事が、予算執行の一時停止を指示した21項目の事業のうち、近鉄奈良線の移設計画など15事業について、全部もしくは一部を中止する方針を固めたことが8日、県関係者への取材で分かった。令和5年度予算での削減額は計約68億1千万円に上る見通しで、大阪府以外で初の日本維新の会公認知事として県政の転換を示した形だ。12日に正式発表する。

関係者によると、15事業のうち全部中止となるのは3事業、一部中止は12事業。県はこれにより、将来にわたる事業費は約4730億円削減できると試算している。その他にも14事業を見直し対象とし、5年度予算で5・4億円を削減できるとしている。

見直しの対象となっていた近鉄奈良線の移設計画は一部中止となる。奈良市の近鉄大和西大寺駅周辺の「開かずの踏切」解消に向けて同駅とその周辺の線路高架化を進める一方、平城宮跡を横切る現在の線路を宮跡南側へ移設する計画は中止する方針。

県内を通る予定のリニア中央新幹線を巡る事業に関しては、奈良市内の駅の候補地の調査などを進める一方で、駅と関西国際空港を結ぶ鉄道の整備については、費用対効果が望めないとして中止とする。

15事業に対する予算の執行中止は、県議会の議決を経ずに行う見通し。ただ、県議会で過半数を占める自民党系会派のほか、事業に関係する県内の市町村からの反発も予想され、今後の県政運営は波乱含みとなる。

平城宮跡通る近鉄奈良線 移設計画に「待った」 奈良新知事

会員限定記事会員サービス詳細