〝量より質〟、観光業界の体質強化へ 骨太の方針

国際線の到着ロビーで行き交う外国人観光客=2022年10月11日午前、羽田空港(岩崎叶汰撮影)
国際線の到着ロビーで行き交う外国人観光客=2022年10月11日午前、羽田空港(岩崎叶汰撮影)

政府による経済財政運営の指針「骨太の方針」原案では、持続可能な観光立国の実現に向け、新たな訪日客の誘致拡大策が盛り込まれた。ビジネス客をはじめとした観光目的以外の訪日客誘致に加え、〝量より質〟を目指した1人当たりの消費額増などを進め、観光業界の体質強化を図る。

原案では「従来の観光にとどまらず、日本を舞台とした国際交流の回復や国際頭脳循環の確立を目指す」とし、「ビジネス」「教育・研究」「文化芸術・スポーツ」など観光客以外の訪日客の取り込みを図る。

新型コロナウイルス禍による需要低迷からの急回復を遂げ、今年1~3月の訪日客消費額が早くも1兆円を突破。それだけに観光を「成長戦略の柱、地域活性化の切り札」と位置付け、宿泊施設の改修やDX(デジタルトランスフォーメーション)化などに対し、計画的・継続的な支援や官民ファンドによる事業再生支援を進める。

観光立国推進基本計画で定めた訪日客消費額5兆円の早期達成に向け、新たな観光コンテンツの創出や文化財の夜間使用に加え、治療や健康診断のために訪日する医療ツーリズムなどの拡大が盛り込まれた。

コロナ禍を受け、深刻化した観光業界の人材不足対策、国際航空便数の回復にも努める。訪日客数のみに頼らず、客単価の向上にも力を入れる方針で、1回の旅行消費額が1人100万円以上となる「高付加価値旅行者」誘致に対する集中的な支援も明記された。(福田涼太郎)

骨太の方針で原案 経済正常化、子育て財源は先送り


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