ウクライナ南部ヘルソン州でドニエプル川のカホフカ水力発電所の巨大ダムが6日決壊し、洪水が発生、住民が大規模避難を強いられた。ゼレンスキー大統領はロシア軍がダムを破壊したと非難し、国土の安全を回復するには戦勝が必要だと訴えた。ロシア通信によると、ロシアのショイグ国防相は6日、ウクライナ軍が反転攻勢を始め、3日間続いているとの認識を示し、撃退したと主張した。
欧州最大のザポロジエ原発はダムから冷却水を貯水池に取水している。ウクライナ原子力企業エネルゴアトムは6日、貯水池の水位は現時点で十分で、原発は「制御下にある」としつつも、ダム水位低下はロシア軍の占領に加えて「さらなる脅威になった」と訴えた。国際原子力機関(IAEA)は「差し迫ったリスクはない」とした。
ダムへの攻撃は戦時国際法違反。ヘルソン州のプロクジン知事は、ウクライナ側が支配する川の北側だけで住民約1万6千人が洪水で危険にさらされると警告した。ロシア通信によると、ロシア支配の南側では約2万2千人が被災する見通し。(共同)