骨太の方針で原案 経済正常化、子育て財源は先送り

経済財政諮問会議に臨む岸田文雄首相(左から2人目)=7日午後、首相官邸(矢島康弘撮影)
経済財政諮問会議に臨む岸田文雄首相(左から2人目)=7日午後、首相官邸(矢島康弘撮影)

政府は7日の経済財政諮問会議(議長・岸田文雄首相)で、令和6年度予算編成に向けた経済財政運営の指針「骨太の方針」の原案を示した。新型コロナウイルス禍からの経済活動の「正常化」を強く意識。インバウンド(訪日客)の拡大のほか人への投資など労働市場改革を推進し、「物価高に打ち勝つ持続的な賃上げを実現する」とした。今月中旬の閣議決定を目指す。

「我々は今、時代の転換点とも言える構造的な変化と課題に直面している、新しい資本主義の実現に向けた取り組みをさらに加速させる」

岸田首相は会議でこう述べ、日本経済の浮上に向けて官民一体で取り組む姿勢を鮮明にした。

原案では新型コロナの感染法上の分類が「5類」に移行したことを踏まえ、「歳出構造を平時に戻していくとともに、緊急時の財政支出を必要以上に長期化・恒常化させないよう取り組む」と明記。地方自治体のコロナ感染防止や物価高対策などへの使用を想定して配られた「地方創生臨時交付金」については「効果・効率性についての検証作業を将来の危機対応に生かすことも見据えて行う」とし、コロナ対策については廃止する方針を示した。

観光立国の復活を掲げ、インバウンド戦略も強化。訪日外国人旅行消費5兆円の早期達成に向け、新たな観光コンテンツの創出に取り組むとともに、深刻な人手不足の対応策として高度外国人材の受け入れ態勢の整備も進める。

持続的な賃上げに向けては、仕事の役割に応じて給与を定める職務給の導入を促すために年内に導入事例集を取りまとめるほか、リスキリング(学び直し)支援で成長分野への転職を後押しする。

子育て施策は「最も有効な未来への投資」とした上で「少子化傾向を反転させる」と明記。安全保障分野では「核兵器のない世界に向け、軍縮・不拡散の国際的な取り組みを主導する」と盛り込んだ。

一方、少子化対策で浮上する社会保険料の上乗せや、防衛財源を賄う増税策の具体化は盛り込まず、議論を先送りした。


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