NHKがインターネット活用業務で認められていないBS番組の同時配信に向けた設備費用など約9億円を令和5年度予算に盛り込んでいた問題で、7日に開かれた総務省の有識者会議「公共放送ワーキンググループ(WG)」の会合にNHKの根本拓也理事が出席し、「一連の内部手続きが不適切だった。大変申し訳ない」と謝罪した。
根本氏によると、一部の役員が昨年10月上旬、「前田晃伸(てるのぶ)前会長からBS番組同時配信の了解を得た」と説明した。また、4月上旬にNHK内部で問題が発覚してから公表まで2カ月近くかかったことについて、「事案の重要性からして迅速に報告すべきものだった」と述べた。
WGの会合には民放連と日本新聞協会も出席し、NHKのネットの必須業務化に改めて懸念を表明した。民放連は「NHKが必須業務化と受信料制度・財源との関係をどのように考えているのか、ネット経由のみの視聴にどのような負担を求めるのかを、抽象的な言葉ではなく具体的に提案した上で議論を行うべきだ」と提案した。
新聞協会も「(配信予算問題で)ガバナンス(組織統治)上の課題も浮き彫りになった。議論の前提が揺らぎかねない問題が相次いで発覚したことを踏まえ、必須化を論じる前に、過去のネット業務予算や改革の進捗(しんちょく)状況を確認し、検証する必要がある」と指摘。今夏予定の取りまとめを見送り、丁寧に時間をかけて議論するよう求めた。