抗がん剤による副作用が始まって、はや2年半。特に、この2年間は、両手指先と両足の裏全体に発生する強烈なしびれと痛みのため、「平穏な日常生活に戻るのは、もはや無理かな?」と失望のどん底。
がんの手術前までは、近くの都市公園で、毎日10キロほどのウオーキングと、合わせて70回ほど実施していた懸垂が、完全に不可能となったばかりか、歩くことすら満足にできない。
指先へのしびれなどにより、ひどい時期には箸を使ってご飯を食べることができず、フォークを使用した。また、44年間もの長きにわたり慣れ親しんできた尺八演奏も「もはや、不可能」と諦めていた。
さらには、足裏に発生した副作用のため満足に歩けないばかりか、2階の収納部屋に上がる自宅の階段を昇り降りすることすらできず、2階に置いている衣類を随時に運ぶことが不可能となった。仕方なく、足裏の状態が比較的良好な時期に運び降りていたため、1階の寝室は衣類だらけ!
「これじゃいかん」と、1カ月余り前から、自宅最寄りの総合病院皮膚科から処方された数種類の軟膏(なんこう)類を、まるで「人体実験」をするように数日単位で塗り比べ、ようやく指先と足裏の副作用を消滅させる効果がある軟膏を特定、しびれなどはほぼ消滅した。
うれしいな! 今はヨチヨチ状態ながら歩けるし、階段の昇り降りもできる。尺八演奏も以前のごとく吹けるようになった。健康なときには、全く当然のごとくできた行動が、どんなに素晴らしいことだったのかを今、しみじみと実感している。
山田定男(76) 大阪府岸和田市