くら寿司、映え意識 無添蔵のメニュー刷新

全国に4店舗しかないくら寿司の高級業態「無添蔵」がメニューを大幅に刷新した=7日午後、堺市北区(須谷友郁撮影)
全国に4店舗しかないくら寿司の高級業態「無添蔵」がメニューを大幅に刷新した=7日午後、堺市北区(須谷友郁撮影)

回転ずし大手のくら寿司は7日、国内に4店舗のみ展開する高級すし業態「無添蔵(むてんくら)」で9日に大幅刷新するメニューを報道陣に公開した。希少性の高いネタや、写真映えすることなどから若者に人気の「創作ずし」を強化する。サンチュや頭付きのエビフライをシャリで巻いた「エビフライロール」など、食材や盛り付けなどの独創性が特徴の皿も登場する。

平成17年1月に堺市でオープンした1号店を皮切りに大阪府内、兵庫県、和歌山県に計4店舗を展開する無添蔵は、通常店舗より高い客単価を想定したメニューをそろえている。ただ、通常店舗も昨年10月に値上げを実施して高価格帯メニューを扱うことが増えたため、無添蔵との差が見えづらくなっていた。メニュー刷新では、通常店舗では期間限定で出している地中海産本マグロといった希少なネタを定番化する。

回転ずし業界は新型コロナウイルス禍で、「勝ち組」と呼ばれるほど客足は順調だったが、店舗で客が迷惑行為の動画をSNSに投稿する「迷惑動画問題」が取り沙汰され、一時客足が遠のくなど逆風が吹いている。一連の問題は収束したものの国内では原材料や人件費の上昇などもあり、くら寿司を含む業界各社は国内事業をどう伸ばすか、頭を悩ませている。

無添蔵は、130~135種類ほどあった既存メニューの半分を刷新し、数も約160種類と約2割増やす。すしの価格帯は1皿120~360円(税込み)の4種類から、130~660円の6種類に変更。新型コロナウイルス禍後に外食市場が回復する中での高額消費を取り込み、客単価の向上を図る。

「40、50代の夫婦などがそもそものターゲットだったが、新型コロナ禍後は1回の食事をぜいたくに楽しみたいとの需要が高まっており、最近は若いカップルや家族連れも増えている」(広報担当者)と客層の拡大にも期待。「ネタを安定的に確保できる規模感であれば、認知を広げて店舗数も増やしていきたい」と話している。(田村慶子)

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