「侵攻後最も重大なインフラ被害」 ウクライナダム決壊

ロシアによる侵略が続くウクライナ南部ヘルソン州のカホフカ水力発電所のダム決壊を受け、ウクライナの検察庁幹部は6日、ダム下流域にある約80カ所の都市や集落が洪水の被害に遭う恐れがあり、4万人超の避難が必要とする推計を明らかにした。ロシアの侵略開始後で最も重大な民間インフラ施設の被害との見方も出ている。

ヘルソン州ではダムのあるドニエプル川の西岸をウクライナ軍が保持し、東岸を露軍が占拠している。幹部は避難が必要な集落の多くは露側地域にあるとし、ウクライナ側地域でその対象は1万7千人、露側で2万5千人に上るとした。

ウクライナメディアによると、プロクジン州知事は7日、これまでにウクライナ側で1852戸が浸水し、1457人が避難したと明らかにした。タス通信によると、露側では2700戸が浸水し、1300人が避難。全域に非常事態が導入された。

ウクライナのゼレンスキー大統領は6日、「被害の全体像は1週間以内に判明する」と指摘。ロシアがダムを爆破したと非難した上で「自然環境や社会、人道への挑戦であり、刑事責任を負わせる」と強調した。

米国家安全保障会議(NSC)のカービー戦略広報調整官は6日、「初期の報告では死者が出ている可能性がある」と述べた。国連人道問題調整室(OCHA)のグリフィス室長(事務次長)は、昨年2月のロシアによる侵略開始以降で「最も重大な民間インフラ施設の被害」となる可能性があるとの見解を示した。

国連安全保障理事会は6日、緊急公開会合を開催。米国のウッド国連代理大使は会合前、「ウクライナが国民に避難を強いる行動をする理由はない」とウクライナを擁護する一方、ロシアのネベンジャ国連大使はウクライナが反転攻勢に向けた部隊再配置から注意をそらすためダムを破壊したと主張した。日本など多くの代表は「ロシアの侵略がなければ起きなかった」と侵略行為を批判した。

ダム決壊、ウクライナ反攻へ影響は限定的か 露軍有利との見方も


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