広大な海域を有する太平洋島嶼(とうしょ)国は戦略的価値が高く、米中対立の最前線となっている。中国は巨大経済圏構想「一帯一路」に南太平洋を組み込み、島嶼国との関係強化を図る。一方、米国やオーストラリアも支援強化を打ち出し、対抗する姿勢を鮮明にしている。
「青い太平洋の島々はかつてないほど大国の注目を集め、(その結果)緊張と対立が起きている」。4日までシンガポールで行われたアジア安保会議(シャングリラ対話)で、フィジーのティコンドゥアンドゥア内務・移民相は米中の高まる関心を憂慮とともにこう指摘した。
中国は2017年に一帯一路の下で海洋協力構想を策定。18~22年に島嶼国10カ国と一帯一路の覚書を締結した。水産・鉱物資源の確保や台湾と外交関係を持つ国の切り崩しが念頭にある。19年にはソロモン諸島とキリバスが台湾と断交し、中国と国交を結んだ。