2004年12月に防衛政策とそれに基づく自衛隊の規模を示す「防衛計画の大綱」が閣議決定されてから約3年後のことだった。防衛省と米国防総省の中長期的な防衛戦略の担当者が意見交換換する会合が米ワシントンで開かれた。この会合に出席した防衛省担当者は、米側から想定していなかった話を聞かされる。
「今はわれわれも『テロとの戦い』をやっているが、これからは発想を転換してハイエンドに備えなければならない。日本も考えるべきではないか」
安全保障政策をめぐる議論で「ハイエンド」は、国家同士が武力を交える高烈度の軍事作戦を意味する。当時はテロ対策や人道支援・災害救助など「戦争以外の軍事作戦(MOOTW)」が世界各国の関心を集め、ハイエンドな作戦は忘れられがちとなっていた。