ロシア西部とウクライナの国境地帯には、今般の侵略戦争の前に何度も足を運んだことがある。幹線道路には国境検問所(パスポート・コントロール)が設けられているが、それ以外の場所では延々と平原や耕作地が続く。果てしない空間が広がり、どこが国境線なのかはよく分からない。
ここにきて相次いでいる露西部ベルゴロド州への越境攻撃は、そんな盲点を突いた。隣国ウクライナを侵略し続けているロシアが、実は足元で自らの国境を何ら守れていないことが赤裸々になった。
しかも、ベルゴロド州に侵入したのはプーチン露政権の打倒を誓うロシア人義勇兵の団体である。越境攻撃は軍事的にも心理的にも、戦争の行方に相当の影響を与える可能性がある。