行き先はサイコロ任せ Z世代に刺さる岡山から始まる鉄道旅

自分でサイコロを振って行き先を決める記念イベント。運命はいかに?=5月24日、JR岡山駅前広場(JR西日本提供)
自分でサイコロを振って行き先を決める記念イベント。運命はいかに?=5月24日、JR岡山駅前広場(JR西日本提供)

行き先はサイコロの出目しだい-。JR西日本が販売する岡山駅発着の「サイコロきっぷ」が話題を呼んでいる。4つの駅名が表示されたアプリ上のサイコロを振って行き先が決まるという偶然から始まる鉄道旅。「Z世代」と呼ばれる若者層を主なターゲットにした企画の一環で、JRの担当者は「運任せの旅という企画で、エンタメ性を面白がっていただけているのでは」と話している。

行き先はどこに?

サイコロきっぷは、Z世代向けの新しい旅スタイルを発信しようと、JR西日本が令和4年1月に開設した情報発信プラットフォーム「アオタビ」の企画の一つで、各地で実施された好評シリーズだ。若者層をターゲットにしているとはいえ、誰でも購入できる。

JR岡山駅発着の今回は、山陽新幹線小倉駅(福岡県)のほか、奈良(奈良県)、敦賀(福井県)、松山(愛媛県)の計4駅から、サイコロの出目によって行き先が決まる。JR西日本営業本部岡山営業部の松本直也さんは「新型コロナウイルス禍後、鉄道旅行需要を掘り起こし、旅の良さを知ってもらう機会になれば」とPRする。

実際はアプリ上でサイコロを振るが、発売を記念して岡山駅前広場で開催されたイベントには、募集から2時間足らずで限定100組の参加者が決まるほどの反響があった。実際に駅名の書かれた特製サイコロを振って行き先を決めるイベントに、参加者は「一度振ったら後戻りはできない。希望の行き先が当たるか」といったドキドキ感とワクワク感を味わい、一喜一憂する様子がみられたという。

一発勝負の運任せ

「旅行には行きたいけれど行き先を決めあぐねている人は試してみてほしい。行き先が決まってからプランを考えるという旅も体験してもらいたい」とPRする松本さん。参加にはWESTERのアプリをダウンロードし、会員登録が必要。6月30日までにエントリーし、4つの駅名が表示されたアプリ上のサイコロを振って行き先が決まる。

岡山発サイコロきっぷの行き先は4駅。割引率が一番高いのは小倉で、いずれもかなりのお得感がある(JR西日本提供)
岡山発サイコロきっぷの行き先は4駅。割引率が一番高いのは小倉で、いずれもかなりのお得感がある(JR西日本提供)

出目の確率は、小倉と奈良が各3分の1、敦賀が9分の2、松山が9分の1。サイコロを振り直したり、エントリー後に払い戻したりすることははできず、途中下車不可の一発勝負だ。

日帰りか1泊2日を選択でき、列車の空席を確認し、宿泊予約も含めて自分でプランを組む。友人や家族らと一緒に行けるように3人分まで購入でき、往復JRの利用料は、エントリー代込みで月~木曜出発は5000円で、金~日曜出発は8000円。割引率は最大が月~木曜の小倉で78・5%。金~日の松山でも45・6%で、かなりの割安感がある。販売・出発は7月12日まで。

各地で大好評

今回の岡山駅発着のサイコロきっぷは、絶景スポットや体験型コンテンツ、観光列車の楽しみ方、切符のお得な使い方など旅の魅力をアピールする「アオタビ」の企画の第4弾だ。

昨年夏の第1弾は、大阪発で、芦原温泉(福井県)や尾道市(広島県)のほか、「レア駅」として36分の1の確率の博多駅など7駅が行き先。3カ月で約24万人が利用した。

さらに昨年秋の第2弾は広島発で、金沢(石川県)や松江(島根県)など4駅。今冬の第3弾も大阪発で湯田温泉(山口市)や出雲市(島根県)など4駅が設定され、軒並み好評だったという。

岡山駅は今回が初登場で、JR四国とも初めて連携した。松本さんは、「どの出目も自信を持ってお勧めできる旅先なので、その土地の魅力を自分なりに探す旅を楽しんでもらいたい」と話している。

旅先でのおもてなしとして小倉駅ではリアルサイコロのイベントも開催された。出目に応じてプレゼントなどが贈られた=5月27日、福岡県北九州市(JR西日本提供)
旅先でのおもてなしとして小倉駅ではリアルサイコロのイベントも開催された。出目に応じてプレゼントなどが贈られた=5月27日、福岡県北九州市(JR西日本提供)

また「アオタビ」では、サイコロきっぷのほか、「ハルタビ/Ado」の第2章が7月16日まで実施されている。広島を旅先とした対象の旅行商品を購入すると、歌手のAdoさんの特別ラジオ番組の配信を受けられたり広島を舞台にしたデジタルスタンプラリーに参加できたりする。(和田基宏)

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