「過去20年で一番の衝撃」 米アップル「Vision Pro」、人類のデバイスは第三段階に

アップルが開発したAR端末「Vision Pro(ビジョン・プロ)」の装着イメージ(同社の発表映像から、共同)
アップルが開発したAR端末「Vision Pro(ビジョン・プロ)」の装着イメージ(同社の発表映像から、共同)

米アップルが5日発表した拡張現実(AR)対応のゴーグル型端末「Vision Pro(ビジョン・プロ)」。パソコン、スマートフォンとも異なる新しい形のデバイス(装置)で、普及すれば人々の暮らしを大きく変える可能性もある。ITジャーナリストの三上洋さんは、「コンピューターを使う人すべてに、恩恵がある装置かもしれない」と期待を膨らませた。

「ここ15~20年の発表中で、一番衝撃的なデバイスだ」。三上さんはアップルの発表に接しての第一印象をこう語った。感銘を受けたのは、目の前の空間をそのままディスプレーとして活用する「空間コンピューティング」という考え方だという。

ビジョン・プロは現実の空間とデジタル画面を組み合わせ、装着すれば目の前の空間にそのまま巨大な画面が広がっているように見える。視界を遮る没入型の仮想現実(VR)とは異なるデバイスだ。コントローラーを使わずに、目や指の動き、音声で操作が可能だ。空間上にパソコン様の画面を複数出現させて操作したり、臨場感のある映画鑑賞や、ゲームをしたりすることができる。三上さんは「人の暮らしを変えてきたものの第一がパソコン、第二がスマートフォン、第三段階として空間コンピューティングがあるのではないか」と語る。

一方、価格は3499ドル(約49万円)からと高額だ。日本国内での普及について三上さんは「とてもすぐ普及する代物ではない。高性能なカメラ、レンズを搭載した化け物のような端末だ」として、時間はかかるとの見方を示した。その上で、「便利さが広がれば、パソコン、スマホ、乗用車など、これまでにあったものとは、別の観念、価格帯のものとして、受け入れられるのではないか」と述べた。

顧客層はどうか。「画面をいくらでも大きくでき、お年寄りにも使いやすい。いわゆる『デジタル格差』の解消につながるデバイスなのでは。マニアだけではなく、コンピューターを使うすべての層にプラスになりうる」と幅広い層への広がりに期待を寄せている。(織田淳嗣)

米アップルが初のAR端末を発表 価格は49万円から


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