ウクライナと同国を侵略しているロシアの双方の国防当局が6日までに、ウクライナ東部を中心に複数の戦闘が起き、自国が攻勢をかけていると発表した。米主要メディアは、ロシアに対するウクライナの反攻作戦が進行中だとの米軍事関係者の見解を伝えた。ウクライナ側は本格的な反攻着手を否定しているが、露軍の出方を探る軍事作戦の初期段階に入ったとの見方が浮上している。
米紙ニューヨーク・タイムズなどによると米当局者は、人工衛星などの情報をもとにウクライナ側が砲撃やミサイル攻撃を活発化させていると分析している。
露軍の布陣や軍事能力、兵士の士気などを探る目的があるといい、軍事専門家からは、数週間から数か月に及ぶ本格的な作戦の「初期段階」を示唆するものだとの見方が出ている。
一方、ウクライナとロシアの双方が戦況を発表。露国防省が6日、東部ドネツク州南部で大規模な攻勢を仕掛けたウクライナ軍を撃退したと主張した。同様の発表は2日連続。ウクライナ軍に1500人以上の人的損失を与え、ドイツ製主力戦車「レオパルト」8両を含む戦車28両などを破壊したとしている。
ウクライナ国防省は5日の段階で「ロシアはウクライナ軍が反攻作戦で大損害を受けたとする虚偽の情報を流し、国民に抗戦を断念させようとしている」と指摘していた。ウクライナメディアが伝えた。
ロシアが完全制圧を発表した東部ドネツク州バフムトを巡っては、ウクライナのマリャル国防次官が5日、ウクライナ軍が同市周辺で有利な陣地を確保して攻勢に転じ、露軍に防戦を強いるなど「成功を収めている」と指摘。ウクライナのゼレンスキー大統領も5日のビデオ声明で、同市周辺でウクライナ軍が前進しているとした。
バフムトを巡る戦闘で露軍側の主力を担った露民間軍事会社「ワグネル」トップのプリゴジン氏も5日、バフムト近郊の集落ベルホフカの「一部がウクライナ軍に奪回された」とSNS上で指摘し、露軍上層部を批判していた。