シンガポールの競馬競技団体「シンガポール・ターフクラブ」は5日、競馬場の敷地を政府に返還することに伴い、来年10月で競馬の興行をやめると発表した。設立から180年以上のシンガポールの競馬は、香港などと並びアジア有数の歴史を誇っていた。
ターフクラブは2027年までに敷地をシンガポール政府に返還。政府は跡地を住宅などとして再開発する見通しだ。現地の競馬はカジノの人気に押されていた上、新型コロナウイルス禍で客足が遠のいていた。
都市国家シンガポールは国土の面積が東京23区をやや上回るほどで開発余地が限られており、住宅価格の高騰が問題になっている。ターフクラブの代表者は声明で「政府の決定は悲しいことだ。同時に住宅や娯楽といったシンガポールにおける土地の必要性を理解している」と述べた。
シンガポール・ターフクラブは同国唯一の競馬競技団体で、英国植民地時代の1842年に設立された。日本出身の競走馬が活躍するなど日本とも縁が深かった。(共同)