金融庁は5日、上場企業の買収に用いる株式公開買い付け(TOB)の制度を見直す作業部会の初会合を開いた。現状は市場外取引が対象だが、市場内で大量に株式を買い付ける場合も実施を義務化するなど、対象取引の拡大を検討する。市場環境の変化で制度が実態に合わなくなっており、平成18年の法改正以来17年ぶりに見直し、企業買収の透明性を高める。
作業部会が年内をめどに議論をまとめ、早ければ来年の通常国会に金融商品取引法改正案の提出を目指す。
TOBは、買収する側が買い付ける株式の数や価格を事前に公開し、多数の企業や個人投資家から株式を買い取る。現在は市場外の取引で3分の1超の株式を取得する場合に義務となる。一方、近年は市場内で急速に株式を買い集める事例が増えており、制度の抜け穴が問題視されているため、市場内取引も対象に加えることを検討する。