北朝鮮による日本人拉致問題がかすかに進展の兆しを見せている。岸田文雄首相が日朝首脳会談の実現に向けて「ハイレベル協議」に意欲を示した直後に北朝鮮が前向きな反応をするなど、双方の意向がかみ合っているからだ。既に日朝両政府が水面下で接触している可能性もあり、拉致問題解決に向けて突破口が開かれることへの期待も高まりつつある。
「何か大きな扉が開くタイミングがきているのではないか」。自民党の山谷えり子拉致問題対策本部長は2日の党会合でこう語り、拉致被害者5人の帰国を実現した小泉純一郎政権以来の手応えがあるとの認識を示した。
首相は5月27日、拉致被害者家族会などが東京都内で開いた国民大集会で「私直轄のハイレベルで協議を行っていきたい」と表明した。この2日後、北朝鮮の外務次官が「日本が新たな決断を下し、関係改善の活路を模索しようとするなら会えない理由はない」と異例の速さで〝返答〟した。