収監中のロシアの反体制派指導者、アレクセイ・ナワリヌイ氏(47)の釈放を求めるアピール行動が4日、露各地で行われた。露人権監視団体「OVDインフォ」によると、5日午前0時(日本時間同日午前6時)までに、首都モスクワや第2の都市サンクトペテルブルクなど計24都市で少なくとも109人が治安当局に拘束された。
4日はナワリヌイ氏の誕生日で、同氏の支援団体が交流サイト(SNS)上で集会を呼び掛けていた。ただ、治安当局が各地で警戒を強化していたことなどから、大規模な集会には発展せず、同氏の釈放を求めるプラカードを路上で掲げるなどしていた人々が拘束されたと伝えられている。
収監後もナワリヌイ氏は支援者を通じてSNS上でプーチン政権の強権統治を批判。2022年2月にプーチン政権が始めたウクライナ侵略も非難していた。政権側はナワリヌイ氏の釈放を求める集会が大規模な反戦デモに発展する事態を危惧し、徹底的な取り締まりを行ったとみられる。
プーチン政権批判の急先鋒(せんぽう)として知られたナワリヌイ氏は20年8月、露国内線の旅客機内で倒れ、露国内病院を経てドイツの病院に移送された。21年1月、過去の事件で言い渡されていた有罪判決の執行猶予条件に違反したとして、ドイツから帰国した直後に露司法当局に拘束された。21年2月、露裁判所は同氏の執行猶予を取り消し、約2年6月の収監を決定。22年3月には別の事件でも有罪とし、禁錮9年の罪を新たに言い渡した。
さらに露裁判所は21年6月、ナワリヌイ氏の支援団体を、あらゆる活動が違法となる「過激派組織」に指定。同氏は現在、過激派組織を創設した罪などでも訴追されており、さらに刑期が伸びる可能性が高い。