金与正氏が安保理非難、衛星打ち上げ事前通告せずと警告

北朝鮮・東倉里の西海衛星発射場で行われた軍事偵察衛星打ち上げの様子=5月31日(朝鮮通信=共同)
北朝鮮・東倉里の西海衛星発射場で行われた軍事偵察衛星打ち上げの様子=5月31日(朝鮮通信=共同)

【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記の妹、金与正(キム・ヨジョン)党副部長は、国連安全保障理事会が北朝鮮の軍事偵察衛星打ち上げについて協議する緊急会合を開いたことを「内政干渉的な主権侵害行為」だと非難する談話を発表した。朝鮮中央通信が4日伝えた。

北朝鮮は、船の安全確保を管轄する国際海事機関(IMO)が偵察衛星打ち上げを非難する決議を採択したことに対して「われわれの事前通報がもはや必要ないとの機関の公式表明とみなす」とも主張した。5月31日に打ち上げに失敗した北朝鮮が再発射を計画する中、IMOが発射期間や落下地点を自ら把握して対策を講じなければならないと、事前通告をしない方針を警告した。朝鮮中央通信が「国際問題評論家」名の記事の形で報じた。

日本は、沖縄方面への万一の落下に備え、迎撃態勢を維持しているが、発射時期や落下時点が予想しづらくなる。

与正氏は安保理に対し、「米国がやろうと言う通りに(北朝鮮の)主権的権利の行使を問題視することをこの上なく不快に思う」と非難。偵察衛星打ち上げは米韓の「軍事的脅威」に対応し、主権と領土を守るための「正当防衛権の行使だ」と強弁した。米国と追従勢力が「退屈感を覚え、自らの選択が誤りだと認めるまで強力に対応していく」とも警告した。

米東部時間2日に開かれた安保理の緊急会合では、中国とロシアが北朝鮮を擁護し、安保理として具体的な対応は取れなかった。米国と対立する中露の援護を見越して北朝鮮が強気の言動に出ているとみられる。

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