青森知事に宮下氏初当選 元むつ市長、保守対決制す

青森県知事選で初当選を決め、万歳する宮下宗一郎氏(中央)=4日夜、青森市
青森県知事選で初当選を決め、万歳する宮下宗一郎氏(中央)=4日夜、青森市

任期満了に伴う青森県知事選は4日投開票され、無所属新人で元むつ市長の宮下宗一郎氏(44)が、無所属新人で前青森市長の小野寺晃彦氏(47)ら3人を破って初当選を確実にした。選挙戦は事実上、宮下、小野寺両氏の「保守対決」となったが、宮下氏は地元のむつ下北地方をはじめ、県内全域に深く浸透。幅広い世代から支持を集め、小野寺氏を引き離した。

三村申吾知事(67)が県政史上最多の5期を務めて今期限りで勇退し、20年ぶりに県政のかじ取り役が交代する節目の選挙とあって、有権者の関心は高かった。

選挙戦は人口減少対策や子育て支援策、物価高騰への対応、新型コロナウイルス禍で停滞した経済の回復策などを主な争点に舌戦が繰り広げられた。

自民、立憲民主、公明各党が自主投票を決定。県議会最大会派29人の自民は、宮下氏と小野寺氏に支持が割れ、一部の立民県議は宮下氏を支援するなど、政党が前面に出る選挙戦とは一線を画した構図となった。

宮下氏は「青森新時代」をキャッチフレーズに11の柱と90項目にわたる政策を掲げた。対話を重視し、個人演説会や集会などでは、自身を中心に円を描くように周りを囲む有権者に対し、政策を唱えることに腐心。「これまでにないスタイル」(陣営関係者)で斬新(ざんしん)さをアピールするとともに、交流サイト(SNS)も駆使してこまめな情報発信に努めた。

街頭演説では「実行力、発信力、スピード感で力強く県政を前に進める」などと訴え、票の掘り起こしを図った。特定の支持団体に頼らない草の根運動に徹しつつ、政党の垣根を越えた支援も追い風となり、現県政に飽き足らない支持層や無党派層などに幅広く浸透した。

小野寺氏は政策として打ち出した72項目に数値目標を示し「実行力」をアピールした。自民の県選出の一部国会議員や半数以上の県議に加え、三村知事の支持も受けるなど組織力で対抗したが、保守層をまとめ切れなかったほか「組織戦」が有権者に旧態依然の選挙戦と映り、支持の広がりを欠いた。

いずれも無所属新人で、元むつ市議の横垣成年氏(63)=共産、社民推薦=と元損害保険会社社員の楠田謙信氏(66)は宮下、小野寺両氏の保守対決の激戦のはざまで浸透しなかった。(福田徳行)

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