プロ野球は2024、25年シーズンから2軍戦のみに参加する新規参入球団を公募している。4、5月の2度にわたって説明会が開かれ、10以上の企業・団体が出席した。プロ野球12球団の本拠地がない〝野球の空白地〟に新球団を誕生させることで、新たなファン層を開拓する狙いだ。
2軍に参入する新球団の募集は現在、イースタン7球団とウエスタン5球団に分かれているファームの球団数をそれぞれ偶数にしたい-というのが出発点。プロ野球の発展と野球振興が大きな目的で、新規参入は2球団を目安にしているが、審査次第で増減する可能性もある。新球団は2軍のリーグ戦に参加し、優勝すれば、ファーム日本選手権にも出場できるという。
公募の締め切りは、24年からの参入を目指す球団が7月末、25年からは8月末。新球団には35人程度の選手の所属、本拠地球場や屋内練習場の確保などを求めており、参加を希望する球団は経営計画書を日本野球機構(NPB)へ提出しなければならない。
9月末をめどに試合運営面、選手育成面、球団経営面などについて、書面での1次審査を実施。24年からを目指す球団は今年11月末、25年からは来年9月末までにヒアリングや視察などの2次審査を行い、オーナー会議での承認を経て、新規参入球団が決まる。
NPBでは4、5月に非公開で説明会を実施。独立リーグのほか、静岡を本拠地に早くから参加を希望していたベンチャー企業「ハヤテインベストメント社」などが出席した。
独立リーグでは、日本海リーグ(NLB)の石川と富山が合同での参加を目指している。富山は昨季、最優秀中継ぎのタイトルを獲得した阪神の湯浅、21年盗塁王のロッテの和田らを輩出しており、地元ファンは将来、プロで活躍する選手の育成が応援のモチベーションになっているという。
富山の永森茂社長は「もし参戦できれば、地元ファンにチームを応援する新たなモチベーションが生まれる。『新しい扉が開くのかな』みたいな期待がある」とファーム拡大を歓迎する。
一方、新球団は数千万円の加入手数料と参加預かり金を納入する必要がある。預かり金は5シーズン後に返却予定というが、球場確保などの環境面や人件費、遠征費など財政面のハードルは決して低くはない。
永森社長は「独立リーグは(財政が)どこも厳しい。一定レベルの選手を集めて、環境を整える中で、どれぐらいの事業規模でやるのか、というのは頭にある」という。
説明会に参加した社会人の「鹿児島ドリームウェーブ」の国本正樹球団代表は「年間予算から考えると、地元のバックアップがないと難しいだろうなと思う」と現時点での印象を口にした。申請するかは未定だが「野球の裾野が広がっていく構想は、とても素晴らしい。もし参戦するならば、選手たちのこともしっかり考え、関係各所への打診など順番を追ってやっていかないといけない」と慎重だった。(運動部 神田さやか)