国会議員は数多(あまた)いるが、果たして政治家と呼べる人士はどれだけいるのだろうか。ソ連(現ロシア)が「日ソ中立条約」を一方的に破って南樺太、千島列島、北方四島を侵奪してすでに78年。竹島が韓国政府に不法占拠されて69年。中国政府は1992年に「領海法」を定めて尖閣諸島を中国領とし、今では尖閣諸島周辺の海域で領海侵犯を繰り返している。この現状は昨年2月24日、ロシアがウクライナに軍事侵攻した状況とも重なるものがある。
だが大きく違うのは、国家主権が侵され続ける現実があっても、日本の立法府が「我(われ)関せず」の状態にあることだ。国会議員の中には「領土問題は票にならない」と嘯(うそぶ)く御仁もいるが、国会議員の役目はその領土を守り、国民生活を安寧に導くことにある。「票にならない」というのは、国益よりも国会議員の地位に恋々としているからだ。