【ニューヨーク=平田雄介】国連安全保障理事会は2日、北朝鮮の「軍事偵察衛星」発射に関する緊急公開会合を開いた。弾道ミサイル技術を用いた衛星発射は「安保理決議違反」との批判が相次ぐ中、中国とロシアは朝鮮半島の非核化協議の再開に向けた安保理制裁の緩和を主張し、米国が目指す北朝鮮を非難する議長声明の採択を妨げた。
国連のディカルロ政治局長は会合で、北朝鮮による弾道ミサイル技術を用いた軍事偵察衛星の発射について「安保理決議違反」と指摘。日本や米英仏、アラブ首長国連邦(UAE)、アルバニア、エクアドル、マルタ、ガボンの代表が北朝鮮の発射を非難した。
ブラジルやガーナ、モザンビークの代表も批判の声を上げ、北朝鮮に安保理決議の順守を求めた。スイス代表は北朝鮮の発射を非難するのは「安保理の理事国の義務だ」と訴えた。
中国代表は「一国を名指しで非難するのを止めるべきだ」と反論し、露代表とともに「米国が朝鮮半島の緊張を高めている」との持論を展開した。日本の石兼公博国連大使は「安保理違反から目をそらさず対応しよう」と呼びかけたが、中露の態度は変わらなかった。