日中防衛相が会談「懸念あるからこそ議論を」

会談前に中国の李尚福国務委員兼国防相(左)と握手する浜田防衛相=3日、シンガポール(共同)
会談前に中国の李尚福国務委員兼国防相(左)と握手する浜田防衛相=3日、シンガポール(共同)

【シンガポール=市岡豊大】浜田靖一防衛相は3日、訪問先のシンガポールで中国の李尚福国務委員兼国防相と会談し、5月に始動した防衛当局間を直結するホットラインを適切に運用することで一致した。

浜田氏は「日中には尖閣諸島を含む安全保障上の多くの懸念が存在する。だからこそ、率直な議論を重ねることが重要だ」と強調。中国軍とロシア軍による日本周辺での共同活動に対しても懸念を伝えた。

李氏は「率直かつ突っ込んだ意思疎通を行い、両国防衛関係の安定的、長期的な発展を推進するために貢献したい」と応じた。台湾問題に関しては「完全に中国の内政問題であり、独立勢力に誤ったシグナルを発信しないよう希望する」と主張し、「釣魚島(尖閣諸島)問題は中日関係の全てではない」と述べた。

今年3月の李氏就任後、両氏による対面での会談は初めて。浜田氏は会談の会場へ先に入り、李氏を出迎える対応を取った。冒頭の写真撮影では両氏とも硬い表情だったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で中断されていた実務者や軍種間の交流再開にも議論が及び、対話の継続を図る姿勢を際立たせた。

李氏は、米国から要請されたアジア安全保障会議(シャングリラ対話)での国防相会談を断った一方で、日本の要請には昨年に続いて応じた。

浜田氏は会談に先立って安保会議で講演し、中国との「対話による信頼醸成」が重要だと訴えた。

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