台湾有事は「壊滅的」結果に 中国へ警告 米国防長官

【シンガポール=森浩】米国のオースティン国防長官は3日、シンガポールで開催中のアジア安全保障会議(シャングリラ対話)で講演した。中国が軍事的圧力を強める台湾問題について、紛争が起きれば「壊滅的」な結果につながると警告。台湾海峡の一方的な現状変更に強く反対し、中国側に対話の姿勢が欠如していることを批判した。

「米国のインド太平洋地域でのリーダーシップ」と題した講演でオースティン氏は、台湾有事について「差し迫っているわけでも、避けられないわけでもない」と自説を述べた上で、「現状の(米軍による)抑止力は強力だ」と強調した。今後も台湾海峡の平和と安定に関与していく方針を示した。

米中両軍間の対話は昨年8月のペロシ米下院議長(当時)の台湾訪問をきっかけに停滞している。米側は今回の安保会議にあわせて、中国側に国防相会談開催を提案したが、中国の李尚福(り・しょうふく)国務委員兼国防相は拒否した。

2日に行われた安保会議の夕食会で、オースティン氏は李氏と握手したが、会話はあいさつ程度にとどまった。オースティン氏は講演で、「中国は危機管理に向けた対話に真剣に取り組んでいない。競争を決して紛争に発展させてはならない」と述べ、李氏に会談の実現を呼びかけた。

また、オースティン氏は、日本が国家安全保障戦略に反撃能力(敵基地攻撃能力)保有を盛り込んだことを「歴史的な変更だ」と歓迎。インド太平洋地域の安定に向け、日本との連携の重要性を強調した。

オースティン氏が台湾情勢に言及したことついて、中国軍高官は3日、「断固とした反対」を表明した。李氏は安保会議で4日に講演するが、対米関係への言及が注目されそうだ。

中国は断固反対「台湾は譲らず」

浜田氏、中国に「懸念あるからこそ議論を」

会員限定記事会員サービス詳細