台風2号、埼玉県内でも被害相次ぐ 大野知事が視察

冠水した道路でひざ下までつかりながら自転車を押して通る女性=3日午後、埼玉県越谷市花田(山本玲撮影)
冠水した道路でひざ下までつかりながら自転車を押して通る女性=3日午後、埼玉県越谷市花田(山本玲撮影)

台風2号に伴う梅雨前線の影響で、埼玉県内は2日夜から3日早朝にかけて猛烈な雨に見舞われ、県東部を中心に各地で浸水被害が起きた。県は3日、大雨被害に関する災害対策本部を設置。同日午前に開催した会議で、同県越谷市と草加市、松伏町に災害救助法を適用した。3日午前11時現在、県内では人的被害は確認されていないが、被害状況を把握しきれていない自治体もあり、全容はいまだ明らかになっていない。

24時間の降水量が観測史上最大の260・5ミリに達した越谷市。市内では一夜明け、家屋が浸水し、車が水没するなど、大雨被害による爪痕があらわになった。県によると、県内では戸田市と草加市で計5件の床上浸水、ふじみ野市と草加市で計10件の床下浸水が確認された。埼玉県の災害救助法適用は、令和元年の台風19号(東日本台風)以来。各自治体は被害の把握を急いでいるが、正確な状況の把握には数日かかる見通しだ。

大野元裕知事は3日、災害救助法の適用について「被害があった場合には迅速に国と連携しなければならない。空振りを恐れずに適用するべきと判断した」と説明した。

その後、越谷市の福田晃市長らとともに、大雨の影響で通行止めになった同市南荻島の国道4号とその周辺を視察。記者団の取材に対し、「深刻な被害の状況を垣間見ることができた。被災した方にお見舞い申し上げる。国と県、市がしっかりと手を携えて取り組んでいかなければならないという思いを強くした」と強調した。

越谷市内で被害が深刻だった地域では、住民らが一様に憔悴(しょうすい)した表情を見せていた。渡辺栄子さん(75)は3日午前2時頃、「隣の旦那さんが『大変だ、早く起きろ』と声をかけてくれて。床下収納のふたの板が(床下浸水で)浮いてふわふわしていた」と恐怖を振り返った。

同様に自宅が床下浸水の被害に遭ったという女性(67)は3日未明、水が押し寄せてきたといい、同居中の母親と必死に2階に逃げた。浸水被害で給湯器が利用できなくなったといい、「これからしばらく不便だ」と肩を落とした。

東京都から東北地方を縦貫する国道4号では、春日部市水角で冠水。このため、国土交通省関東地方整備局は3日午前1時30分から上下線で通行止めの措置を取った。

「まさかこんなことになるとは…」。3日未明に通行止めとなった国道4号を車で走行していた東京都荒川区の女性会社員(27)は、道路冠水が急激に進んだ影響で、近くのガソリンスタンドへの避難を余儀なくされ、その場で一夜を明かしたといい、疲れた表情を見せていた。(星直人、山本玲)

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